2009/11/06

90・92 博物館動物園駅

博物館動物園駅。
…そのテキトーな名前が印象的だが、そこに初めて降り立った人は不思議な感覚に陥ったはずだ。

1933(昭和8)年、日暮里—上野公園(現・京成上野)間のトンネル開通とともに開業したのが博物館動物園駅。
終戦前後の接収、1976(昭和51)年の京成上野改装による半年間、1997(平成9)年以降の3度の休止の歴史がある。
3度めの休止以降はそのまま復活することなく2004(平成16)年に正式に廃止となった。



博物館動物園駅入口(1992)

その名の通りの上野公園内の施設へのアクセス駅だった。
上野公園を抜ける公道の脇に、その駅名にふさわしい立派な洋風建築の出入口が設けられた。これがたった一カ所の出入口だ。
建物は現在も保存され続けている。

駅の中の様子を1990(平成2)年に撮ったが、改札口周りを撮ってなかったのは失態だった。
木造のラチが設置され、最後まで使われていたのだ。


上りホーム(1990)

広いスペースがあるホームだが、変電設備の扉があるせいかウマが置かれ、線路際しか入れないようになっている。
味も素っ気もない廃墟のような風景が、この博物館動物園駅ホームの特徴。


水道(1990)

ホームにある水道にはホースがつけっぱなし。どこまでが舞台裏なのかわからない。ホームのあちこちの水たまりの犯人だろうか?




駅名標(1990)

太い柱につけられたプレートでは「動物園」だけが大きく書かれている。



駅附近御案内(1990)

「駅附近御案内」は字体からして相当古いものだろう。壁は荒れ放題。


初代AE形(1990)


3600形(1990)



ホーム連絡通路(1990)

出入口からの階段は上りホーム側にあり、下りホームへは線路の下をくぐる通路を進む。


ペンギン(1990)

有名なペンギンの絵。下りホームへの階段を上がったところにある。駅近くの東京芸大生が描いたとされている。



下りホーム(1990)

上下線がズレたホーム。ご覧の通りコンクリート地肌の超無機質な状態で、とても現役の駅とは思えない風情。



ゾウの壁画(1990)

こちらも有名な下りホーム上野方端のゾウ。配管で目が隠れてしまっている。


3200or3300形(1990)(再掲)


3500形(1990)


下りホーム日暮里方端(1990)

博物館動物園駅の特徴として、4連列車しか停まらないという要素がある。これはホーム有効長が短いため。つまり、普通列車でも6連のものは通過していた。
じつは、赤電以降の18m車は4連でもドア1つ分ホームが足らず、停車時の先頭車乗務員室と最初のドアは写真の壁の向こうにあった。いちおう足場が足されているが、カニ歩き状態だろう。
写真に写っているのは動いている電車なので停止位置とは異なるが、壁と車体との間に細い足場があることは想像しがたい。
停車回数の少なさはこの駅の寿命を縮めた要素の一つだろう。


下りホーム端の足場(1992)

黒い■(ルーバー?)の下に細いホームの延長の足場があるのがうっすら見える。真ん中と右の■の間から鉄柱の陰にかけて足場が線路レベルへの階段になっている。


下りホーム(1992)

駅構内は晩年に塗装が施された。黄色は少しでも明るい雰囲気にするためだろう。写真はブレた1枚しかない。



ペンギンとゾウ(1992)

黄色い駅を初めて目にしたときは彼らが気になったが、しっかり存置されていた。
絵の部分の壁の色は残り、額縁のようになった。


現在も通過する車内から薄暗い博物館動物園駅ホームの姿を見ることができる。資材置き場に使われているようだ。
戦後早くに廃止されたとなりの寛永寺坂駅もホームが残っていて(トンネル口すぐ)、京成上野を利用するときは車窓に注目だ。

(右フレーム上部から入れるアルバムに、掲載した写真をカテゴリ別にまとめています)

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

昔夜中になるとペンギンや象が動きだす
と言う都市伝説が地域の子供達の間で囁かれ恐かったのを覚えてます

風旅記 さんのコメント...

こんにちは。
営業していた頃の駅の様子、大変興味深く拝見しました。
この地下トンネルが作られた頃のまま、最後まで大きくは手を加えられずにあったのだろうと思います。
偶々見掛けた、地上の駅本屋の意匠の美しさに惹かれ、初めてこの駅に興味を持ちました。時既に遅し、駅の中を見るには到底間に合わず、私にとっては想像の世界になっています。
普通列車さえ一部は通過していたとのこと、この駅の場所にそもそも需要がなかったのか、それとも列車が少なく駅設備も前時代のままだったために使いたくても使えなかったのか、どちらなのかは私には分かりませんが、京成側もテコ入れをする意思はなかったということなのでしょう。
この駅が開業した時代に、どんな古めかしい車両が走っていたのか、真新しかった頃にはハイカラに見えたことだろうと想像しながら、走る列車の暗い車窓に目を凝らしたりしています。
貴重なお写真、楽しませて頂きました。
今後とも、宜しくお願い致します。
風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/

匿名 さんのコメント...

https://twitter.com/ichikawakon/status/1253343399320514560?s=20

ツイッターのこちらのアカウントが貴殿の駅名橋の写真をトリミングした上、無断転載しているようです。

ひみつ さんのコメント...

ご報告ありがとうございます。

汚れや照明の反射の形を見ても、私が1990年に撮影した写真をここに上げたものをトリミングしたものと言っていいでしょうね。

私はTwitterアカウントを持っていないので貼った方に直接何か言うことはできないので、ひとまずこのコメントをここに公開するにとどめておきます。

当ブログは他のブログさんにリンク張り依頼をしたことはなく(勝手に張られている所はある)、検索でなつかし写真記事にたどり着かれるアクセスがほとんどと考えています。
この記事は丸ノ内線なつかし写真・2に次いで当ブログの閲覧数2位になっています。
丸ノ内線2が2.11万ビュー、当記事が1.27万ビューです。
このコメント時点で記事数は964(こんなに作ったか…)ですが、閲覧数が1千以上の記事が16件、うち1万以上が上の2記事のみです。
丸ノ内線2とともに、どこかしらに記事へのリンクが張られているんでしょう。あぁいう使い方をされる確率はどうしても高くなってしまいますね…

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